紅香の愛・Tokyo Benica・桜木町恋唄ナンバーワン..
あの男は、
出勤時間に
駅でよく
待っていたものだ。
腰に
ぴったりとした
膝丈の
マーメイドスカートの
裾をゆらして、
わたしは
階段を
ゆっくりとあがる。
春になろうと
している夜が、
女っぷりを
あげてくれていることは
まちがいない。
「ひと目だけでも
逢いたかった」
その男は
そういうと、
片手をだして
わたしの手の申に
一瞬だけ
触れた。
あははと
笑いながら、
彼の
背中をまるめるように
立っている姿に
手を振って、
わたしは
店のある
白いビルに入る。
顔なじみのスカウトマンが、
「あなたの旦那？」
と、
またおなじことを
尋ねた..
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