2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧
この世界の 輝きの、 総てに出逢うまえに、 ひとりの 青年を棄てていた。
マーカスたちとも、 待ち合わせしていたし.. そして その一部始終を、 知的な映画監督が 苦笑しつつ 眺めていた。 ........... 映画は、 記録的な興行成績。 クラブを通して、 続編の 端役になった縁は 妙なものだ。 Paris、 Hollywood、 Tokyo... .........…
それは いままで、 無敗だものね。
え? という感じで、 大スターは もう一度たしかめたが..
「ノー」
彼は 顔面蒼白で、 わたしにたずねた。 「今夜 いっしょに過ごせますか?」
「言ってみる」
ついに お開きとなった時、 彼は 勇ましくも 監督に打診していた。 「あの子を誘って みようかと おもうんだけど」 ........... 「古風な女の子 だから だめだよ」
と 監督に話しかけては、 わたしのことを チラ見していたが..
「年取り過ぎてるよ ホステスたち」
あの夜会に、 彼はすっかり 辟易していた。
そう あのスターですら..
わたしは、 美の最高峰をめざしていた。 だれにも なにも言われない、 圧倒的な 1位になれば、 もう 困ることは、 ひとつもないの..
「ふん きみは馬鹿か」 ............
「自慢には ならないの亅 わたしは パリでの 撮影フォトを、 意気揚々と 見せた。
すると、 「なにこれ」 彼はあからさまに、 嫌な表情をしたのだ。
その凄さに 負けないように、 「いま こんなことをしているの」 と、 自分の載っている雑誌を すぐさま 見せた..
さらに力が抜けて、 いっそう 彼の磁力が 増していた。
目の前に、 夢のように 彼がいた。
そして わたしは、 機上の人となった。 できないと 制限しているのは、 己自身だったのだ。 ハワイ島の 甘いゆるい匂いが、 羽根となって 背中に、 はえていた。
わたしは 一泊二日の 休みを、 エージェントに 懇願した。
好きな人に、 これほど 好きな人に、 二度と逢えないかも 知れないと いうのに..
「友人たちと バカンスで ハワイに行くので そこで 逢おう」 ....... 彼はいまのわたしを、 まったく知らないのだ! いまだに、 ホステスのままだと 思っている。 休暇なんて とっている場合ではないの..
精力的な半年が 過ぎた頃、 わたしの 実家に、 医師になったマーカスから 手紙が届いた。
なにより そのことが 嬉しかった。
これで、 あしたのお金の 心配は皆無になった。
それからすぐに 質素な 新しい部屋で、 わたしの ナイトクラブライフは 一変した。 まず フランスの老舗ブランドの 広告塔になったのだ。 と 同時に、 ハリウッドの 近未来的アクション映画 シリーズ3に、 30秒ぐらい出演した。 タイ王朝の 末裔の役で、 一…
もちろん、 わたしにも非はある。 だが えげつない男は やはり どこかで、 また別の獲物を とらえるだろう。
そして あっさりと わたしは 無意味な男との、 縁を切った。
この夜は、 サナギの 部屋に泊まろう。 そして、 二度と 再び あの野蛮人には 逢わないのだ。 すべては 自心の展開... おのれが選んだことで あれば、 おのれが手放せるはず.. 悪夢よ去れ。 おまえの支配など、 一刀両断だ。