2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧
はつえは 赤くなり、 「はい」 と下を向いた。 いつもの 白い木綿の服 を着ていた。 次の休みに 街にでて、 秋色の シフォンのワンピースを 買ってやろうと想った..
快晴の朝、 散歩中のことだった。
「俺と 結婚してくれませんか」 自分でも 新鮮なほど、 素直にはっきりとした 声で 話していた。
人が抱える 憎悪というものは、 神にとっては なんの意味もなさない。 はつえを 待っているあいだ、 観音経 を唱え続けていて そのうち 体に 神仏が すこしは 宿ったのだろう。 俺は俺でありながら、 神の心もわかる という 境地に入った。 とどのつまり 人…
はつえは 変わっていた。 病人につきそい、 あれこれ 世話をしているうちに、 憎しみというものが 消え去っていたのだ。 そして そのような 煩悶が失せた はつえは、 以前より いっそう 美しくみえた。
そして 再び ふたりだけの国で、 俺は はつえを 抱きしめていた。
『俺は あたたかい音楽のように はつえを 愛している』 ひとりの時を、 そんなことを 考えて過ごしていた。 無音だった世界が、 いまはどうだろう 日々が 白っぽい 調べを奏でていた..
