紅香の愛・Tokyo Benica・蒼と紫色を、抱きしめる..完

ときどき
髪を洗ってやる。
乾かして、
梳いてやる。
その一連の作業が、
神聖に
おもえた...
そして
2年がたち
その儀式はおわった。
心臓の弁の加減だそうで、
みつけにくいと
医者から言われた。
冬だった。
遺品を整理していると、
本の中から、
たくさんの押し花...
紫陽花だった。
花びらのすべてに、
俺の名前。
..................
またいつもの生活、
夜がきて、
ふとんを敷き
灯りを消す。
俺のかたわらには、
たくさんの花びら...
俺は眠る。
しあわせだと想う。
蒼と紫色を、
抱きしめる..