紅香の愛・Tokyo Benica・それは、優しい夜..完
痩せた顔を
もぞもぞと下にむけて、
彼は
顔を赤くした。
「それは僕も
ひどいとおもっている」
................
そして
見せてくれたのは
差し押さえだの、
借用書だのの
束...
「ぜんぶ
あなたのためだったんだよ」
元の夫は
泣いてしまった。
.............
そんなことだったのか...
わたしは
ほっとして
笑ってしまった。
それから
ゆっくりココアを飲み、
彼の指に
自分の指をからめて、
なんだ
そんなことだったのか
と
声にだして
言った。
そして
足をさすってやった。
いままでで、
.........
一番やさしく...
さすって
やったのだ..
脚に顔を、
近づけるようにして..
一番やさしく、
さすってやったのだ..